一番くじ


一番というものに無縁で、おみくじでも大吉が当たったことがない。
いつも小吉、良くて中吉、くらいで。
吉とか小吉くらいのちょっとつまらん感じくらいが身の丈にあっている、そういうちょっと外れる、ちょっと付いてないという人生を受け入れてきたので一番くじでA賞が当たって精神が疲弊してしまった。

特にその一番くじのA賞のおもちゃが欲しかったわけでもないから尚更、身分不相応感が自分を苦しめる。

私は軽い気持ちだったんです、ほんの軽い気持ちで一番下の賞が欲しかったんです…ほんの出来心なんです…どこかに居る本当にA賞が欲しかったガチ勢の方に謝る。

他に周りにいたファンっぽい同じくじを引いた人に押しつけて逃げて楽になりたいと思い声をかけてみようと思いついた。
ちょっと何と声を掛けたらいいか分からなかったが、ゲームセンターで小学生の私に取れたけどいらないおもちゃをくれた大学生くらいのお兄さん達の感じを思い出して声をかけてみた。

普通に丁重にお断りされ、罪悪感がマシマシで特盛背脂多めになった。

他のコンビニをチラッと見て、都合よくA賞が欲しくて泣いてる子供とか大人でもいないかと思ったが私にとって人生はいつも都合が良くなくて誰もいない。

コンビニの袋のA賞の重みが苦しくて、荷が重い、重すぎる。
私は一番くじのA賞の器じゃない。

私は一番くじのA賞という重みでさえ背負いきれないのに、異世界転生したら勇者だった人すごいなあと思う。世界とか背負いきれなさすぎる。

一番くじのA賞に耐えられない体のようで胃痛がして、どこかで私の後に一番くじを引いた子供がA賞が欲しかったよ~~と泣いてる幻聴がしてくる。
鬼舞辻無惨の血や宿儺の指を飲み込んで体が耐えられない感じ。
身に余る力は人を滅ぼす。
耐えうる器ではなかった、私はA賞に耐えうる器ではなかったのだ。

かと言ってメルカリで売ろうにも、直後だったので10倍くらいの値がつけられていて私がここで定価以下で出そうものなら私から買って更にそれを転売する人がいそうで怖くて出来ず。

周りの子供に譲ろうかと思うが、私の周りに居る子は無惨って怖いけどぉ~顔はかっこいいわ~って感じで大体鬼滅かすみっコぐらしなので私が引いた一番くじのジャンルが好きそうな子は居なかった。

このA賞を手放さないと重責に耐えきれず体がはじけ飛ぶし、雑に手放したらそれはそれで最後まで責任持ちなさいよ!と私が炎上してミヤネ屋で放送されることになる。

もう疲れたよ…私は頑張ったよ、何か頑張った
そういうことでとにかく寝て忘れてみようと思った。
パトラッシュと一緒にお迎えが来てもそれはそれで仕方ないと思った。

しかし人生は分からないもので、私にとってちょっと都合よくダメもとで聞いたら友達の友達にそのジャンルが好きな子がいた。
そうそう、このちょっと都合がいい、ちょっと付いてる~!くらいが最高級にちょうどいいんだよ~!っと解放される喜びからケラケラ笑いながら即、A賞を抱えてその子の家にいった。

A賞を受け取ってくれる事は、私の胃を救うことでもあるけど友達は何か大袈裟に言ってんな~という感じで伝わってなかった。
もう全然いい、とにかく救世主なんだよあなたは。

ありがたく家に上がって目につく甘いもの全てを食べさせてもらい、成人女性にしては珍しくしゃぼん玉を5個くらい揃えていたので遊ばせてもらいおもてなしの心を感じた。
(なんだかんだスタンダードな奴が一番しゃぼん玉おもしろいな~と思った。)

私は心が軽くしゃぼん玉と同じく飛んでいくような気持ちで改めてA賞を受け取ってくれたお礼と頂いたお菓子がすべて美味しかったお礼を言うと、しゃぼん玉で遊び疲れた友達は話しを聞いておらず「しゃぼん玉飲んだの?」と頓珍漢なことを言った。

ごめん、ごめん、あなたなら飲みかねないから…と全然謝ってない事を言われたが私は心が軽くて全然怒らなかった。

とにかくニッコリ、ニッコリした。

おわり






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